お釈迦さまのお誕生日

おはようございます。風の強い朝となりましたが、今日4月8日はお釈迦さまのお誕生日、「花まつり」です。「降誕会(ごうたんえ)」「灌仏会(かんぶつえ)」とも申します。

「花まつり」には毎年、花御堂(はなみどう)を本堂前にお出ししています。花御堂とは、お花で飾られたお堂のことをいいます。当山の花御堂は木造の古いものです。簡素ながらも味わいがあります。そのお屋根を、椿の花で彩ります。お堂の中には、甘茶をたたえた器に幼少期のお釈迦さまのご尊像が据えられています。生まれたばかりのお釈迦様が右手で天を指し左手で地を指し、7歩歩まれて「天上天下 唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)」と言われた、そのお姿のご尊像です。

この、「天上天下 唯我独尊」というお言葉は、じつにさまざまに解釈がなされています。時には「この世の中で自分のみただ一人尊い」というような自己中心的な捉え方をされることもあり、悲しい限りなのですが、「私たち一人ひとりがかけがえのない尊い存在なのである」という意味ではないかと考えます。

昨日の夜も大きな余震がありました。ようやく一歩一歩復興へ向けて歩み始めた矢先のことに懸念がつのります。一人ひとりが持つそのかけがえのないパワーを復興へと向けたいものです。

お釈迦さまがお生まれになったとき、お空が祝福をしてよろこびの雨(甘露の雨)を降らせたという逸話が残っています。これにより、「花まつり」にはお釈迦様のご尊像に甘茶をおかけするのです。

花御堂の横にはポットとコップを置いて、甘茶をいただけるように準備してあります。お正月の三が日の折にも七福神めぐりの方々には甘茶を楽しんでいただいて、おなじみの方も増えてきましたが、甘茶はいわば、古来のハーブティです。甘茶の木というユキノシタ科のガクアジサイの仲間で、見た目もガクアジサイに良く似ています。その葉を乾燥させて煎じたものです。お砂糖は全く加えておらず、まったりとした天然の甘さが特徴です。

よく、「アマチャヅル」と混同されることがありますが、そちらはウリ科の植物です。

今年は、10日(日)まで花御堂を本堂正面にお出しします。お参りの際はぜひ、お空が祝福した様子を思い浮かべながらお釈迦さまのご尊像に甘茶をおかけになり、お隣のポットにある甘茶もお楽しみください。

前回のお便りで書きました、三門前の枝垂桜は早くも葉桜となってしまいました。代わって境内で花を付け始めたのが、掲示板前の八重の枝垂桜です。お花の色も濃いため、存在感のある桜です。

このほかには、銀杏の木の近くにあるボケもぽってりとした赤い花をたわわにつけています。(慧香)

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