震災より早くも20日近くが経とうとしています。
じりじりとした気持ちで過ごす一方で、そこここに春の花が姿を見せ始め、季節の移ろいを感じさせてくれます。
最近の報道にもありますが、茨城や千葉でも震災による被害が見られます。今日は、ここ千葉県の被害について少し書きたいと思います。
千葉県は海に囲まれています。このため、太平洋側では津波の影響が、東京湾側では液状化現象が発生しています。
太平洋側にあたる旭市では津波による倒壊家屋も多く、いまだ避難生活をされている方もいらっしゃいます。また、歴史ある街並みと水郷地域として有名な佐原(香取市)では、保存地区の古い商家が破損するなど、これまで私たちを和ませてくれた風景そのものが危機に瀕しています。このあたり一帯はお米の産地でもあるため、田植えにも影響を及ぼしているようです。
一方、東京湾岸エリアへ目を移してみると、浦安市や習志野市、千葉市などで液状化現象によってマンホールが隆起していたり砂が出ていたり、家が傾いたりしています。そのために水道が出にくくなっている地域もあるとのことです。町が元の姿を取り戻すにはかなりの時間や労力がかかると思われます。
お檀家さんの中にも、太平洋側の匝瑳(そうさ)市で市役所へ避難をされた方や、湾岸側の千葉市で液状化現象のためにご自宅が傾いた方などのお話をうかがいました。特に、液状化現象については回復にかなりの費用を要するというお話でした。
ここ佐倉でも、屋根瓦が落ちたり地割れが起きたりと、随所で被害が発生しています。屋根に青いシートがかかっている家が数多く見られます。
このあたりから東京へ通勤している多くの方は震災の次の日にご自宅に戻られたのち、余震や断水に接して東京との被害のあまりの違いに驚かれたそうです。
当山でも、本堂の壁が破損するなど被害がありました。
一番大きな被害は、参道から三門へ至る途中にある一対の「華表(かひょう・中国で聖地や御廟の入り口に安置される大理石の置物です)」のうちの片方が倒れたことです。
ある程度太さがあるのでなかなか倒れることは想定できないものです。倒れた際は相当の音と震動があったはずですが、近くにいながら気づかず、直後にお寺を訪ねていらした方に言われて、本当に驚いてしまいました。それだけ地震の揺れそのものが強かったということだと思われます。倒れた方向が通路側でなかったことが不幸中の幸いといえそうですが、三門の無い時期は三門代わりとして、今ではモニュメントとしてお寺を守ってくれていただけに、とても残念です。
残った華表を今後どのように設置していくかについてはただいま検討中です。
それでも時は確実に流れ、門前の枝垂桜がとうとう花をつけました。同時に、ウグイスのさえずりも聞かれるようになりました。ほかにも、こぶしやスイセンなど境内に一気に彩りが見られるようになりました。
まもなく花まつり、お釈迦様のお誕生日です。今年も当山の花御堂は椿の花で彩る予定です。甘茶もご用意します。どうぞ、お散歩の合間にでもお立ち寄りください。(慧香)