お坊さんへの道vol.6 “修行は続く”

こんにちは。こんにちは。第六弾となりました「お坊さんへの道」シリーズ、いよいよ終盤です。

第五弾で英岳上人が「信行(しんぎょう)道場」を修了したことを書いておりました。この「信行道場」はいわば、ここまで続けてきたお坊さんになるための道のりとしては仕上げのプロセスといえます。日蓮宗の総本山である身延山久遠寺(山梨県南巨摩郡身延町)にて行われる35日間の修行のことを指します。

英岳上人に引き続き、私も5月27日より6月30日まで参加してまいりました。この道場を修了することにより、日蓮宗のお坊さん=「お上人(しょうにん)」となれるのです。

女性であってもこの道場に入るにあたっては剃髪することになります。私は前日の26日にここ妙隆寺の本堂で6ミリほどに剃り、身延へ移動してから現地の理髪店で剃髪にしていただきました。もちろん、剃髪するのは初めてです。私自身は鏡やガラスでも前にしない限り自分の姿を目にすることは無いわけですが、見送りに来てくれた母をはじめとする家族はどのような気持ちで私の姿を見ていたのかと思うと、今振り返っても複雑な心持ちになります。自ら望んでこの道に入りその姿になっているわけですが、「髪は女の命」なのもまた事実と感じます。

そんな青々とした頭で、ドキドキしながら当日の集合を迎えました。一緒に入る方は私を含めて全員女性の22名、21歳の方もいらっしゃれば60代後半の方もいらっしゃいます。皆で力を合わせて35日間を過ごすのです。

道場での生活は、分刻みの忙しさです。

4時起床で一日が始まり、水行もあります。久遠寺での朝勤(ちょうごん・朝のお勤め)に参加し、日蓮聖人のご廟所にお参りし、道場に戻っての道場朝勤、朝食、清掃、講義や実習・・・21時の就寝までまたたく間に時間が過ぎていきます。

道場中は食事や掃除の際を除き、基本的に袈裟を着けて行動します。足袋は履かず、足元は下駄です。下駄は、最初は慣れませんがだんだんと足に馴染み、外反母趾の心配も無くなり、足が健康になっていくのを感じました。

そうこうしているとあっという間に時間が過ぎてしまうわけですが、ぼーっとしていては勿体ない過ごし方になってしまいます!気持ちの持ちようで、自分が得られるものは違うと思うからです。どんな瞬間でも学ぶことがあるのだということを痛感しました。たとえ自分ではない人が先生からご注意やご指導を受けていても、それは同時に自分にも向いているのだと感じました。限られた時間の中、何事も無駄にはできないと気づきました。

法要の進め方やお作法といったことはもちろん、お坊さんとしての心がけ、なりたいお坊さん像を描くこと、食事の作法、姿勢、歩き方、声の出し方・・・どれを取っても修行なのです。お坊さんであることは、人生のあり方でもあるのだと感じました。同時に、お経をあげることだけがお坊さんではないのだということも強く自覚しました。

白熱してしまいました。

長くなりそうですので、vol.7にて続けます!(慧香)

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